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2012年10月15日 (月)

ネットナンパの先には・・・

http://www.assioma.jp/?p=3084&UA-11265849-5

有名になった事件ですから、ご存知の方も多いでしょう。アマンダさんが、自分の裸をネット上の知り合いに送ったために、ひどい仕打ちを受け、自殺した事件です。

もちろん、安易に自分の裸を他人に送ったことは、軽率だったと言わざるを得ません。女の人だけでなく男の人も、ヌードは商品にもなりますし、自分の体を使って他人が何をしているのか考えると、そういう使われ方をしていると納得していない限り(AVとか)、他人に見せるものではないはずです。しかし、信用している相手の要請を断ることができない気持ちもわかります。ネット上でナンパをするのは、昔からあって、手口は巧妙です。リアルのナンパは、最初に話をしてもらうまでがたいへんなのですが、ネット上では、リアルよりも気軽に話ができます。こちらも、いやになれば切ればいいと安心するのでしょう。やり取りをしていくと、向こうは手練のナンパ師ですから、術中にはまってしまいます。そして、この人から嫌われたくないと強く思わせて、法外な要求をしてきます。ヌードの場合は、顔が写っていなければいいかなと思ってしまい、結構気軽に応じることもあるようです。そして、商品にされたり、この事件のように投稿されて(晒すといいます)攻撃の対象になります。

では、どうやって彼らは少女たちを落とすのでしょうか。まず、何人もの子に、気軽なメッセージを送ります。何十も。その中で一人引っかかったら御の字です。引っかかったら、まず、その子の悩みやむしゃくしゃした気持ちを吐き出させます。「悩んでることない?」とか、「学校や友達、ムカつかない?」なんて感じで。すると、ネット上の付き合いだからと気軽に話してしまいます。ほんとにささいなことを。それに同調してより大きく増幅させます。すると、この人は自分をわかってくれている、と錯覚して、信用してしまいます。もうこの段階で、要求を聞かせる準備は出来上がっています。そして、別れをちらつかせながら、法外な要求をします。その後は、アマンダさんと同じです。

信じられないと思うでしょう。なんでこんな手口に引っかかるのかと。これが、ネットの怖いところです。顔も知らないのに、名前もわからないのに、住所も、仕事も、何もわからないのに、なぜ信じてしまうのでしょう。僕は、背景には、子どもたちの、リアル社会に対する根本的な不信感があるように思います。この時期の子は、だれでも、少なからず自分の社会に不満を持ちます。いやなこと、気にいらないこと。でも、気軽に吐き出して浄化できる友人がいたらいいのですが、今の友達関係は結構複雑で、わりと高度なかけひきが行われています。本当に気を許すことができる友達は、意外と少ないのではないでしょうか。こんなこと言ったら、ひかれてしまう、とか、仲間外れにされる、とか。そこに、一見あとくされない関係で話を聞いてくれる人が現れたら、はまってしまうのもわからなくはないです。

そう。これは詐欺師の手口なのです。豊田商事の事件でも、だまされたお年寄りは、だまされたことに気付いて、お金を渡していたといいます。孤独なお年寄りに優しくしてくれるのは、社員だけだからです。そこに、犯罪とか、詐欺とかいう考えは入りません。第三者は、詐欺だとか犯罪だとか言いますが、本人は、そういう考えすらないのですから。

さらに、ネット上のことは、第三者が監視したり干渉したりしにくいです。PCのみのアクセスならまだ、保護者のコントロールができるでしょう。これが携帯でできたら、部屋に入れば自分の世界ですから、誰にもわからずに、干渉されずに、やり取りができます。詐欺にあう人は、自分が詐欺にあっているとは思っていないので、他人に話さない限り表に出ることはありません。第三者が気付くことも難しいのです。たとえ親であっても。

社会経験が豊富な立派な大人でも、詐欺にあうのです。ましてや、用心とかよくわからない子どもが詐欺にあっても、決してその子供を責めることはできません。信用していた人から裏切られるだけでも相当のダメージなのに、さらに自分のセンシティブな写真が公表されたら、そのショックは相当なものでしょう。そこに、さらにその子が軽率だとかいって責められたら、本当に死を選んでも仕方ないでしょう。

僕たち大人は、どうすればいいのでしょうか。ネット空間をきっちり監視する?不可能です。子どものネット利用をきっちり監視する?不可能ではないかもしれませんが、現実的ではありません。親がネットの進化についていかなければなりません。次々と新しい技術が生まれるネット社会を追いかけられる大人は、まれでしょう。そんなに大人は暇ではありません。では、いっそのこと、子どもにネット接続を禁止するのは?可能でしょうけど、そんなことをした国は、世界的に後れを取るでしょう。

やはり、即効性があるのは、ネットリテラシー教育しかないのかなと思います。ネットで起こっている詐欺やいじめの実態を紹介し、引っかからないためにどうすればいいか、不当な要求(だまされている子どもは、それを不当と思わないでしょうけど)に対する対処などを教えます。そして、一番大事なのは、おかしいと思ったらすぐにその社会から身を引くこと。この勇気を持つことが、自分を守る最大の方法であることに気付かせます。これは、決して不可能ではありません。今はICT専門の先生が学校に配置されていますから。彼らはプロですから、ネット社会の進化も追っていけるでしょう。彼らに、ネットに関する講座を持たせて、教えるのが一番です。

リアルな人間関係を健全にするのも、この問題を解決するには効果があります。しかし、子どもは、いろんな人間関係を経験して対人スキルを磨いていきますので、「健全」を大人がプロデュースするのは、過干渉です。避けたほうがいいです。ただ、こういうのが健全ですよ、と教えることはダメですが、自分の人間関係を健全にしようとするモチベーションを持たせるのは可能です。道徳の時間することになるでしょうけど、このモチベーションだけでも、結構救いになるのではないでしょうか。

さらに、もし被害者になってしまったら、子どもをサポートする体制が必要です。安心できて、傷ついた心を癒し、少しでもこころの支えになる、そして社会からの攻撃の防波堤になる、そんなサポート体制が求められます。これは詐欺ですので、だれでも陥る可能性がある罠です。被害者なんです。被害者にやさしくない社会は、冷たい社会です。少なくとも子供の周りだけは、あたたかい社会にしておきたいですね。

この事件は、いじめととられていますが、いじめというにはだいぶ違和感がありますね。これは、全く犯罪でしょう。もちろん、日本でいじめにくくられている行為の中には、全くの犯罪行為も多いと思いますが。彼女を救うなにか手立てはなかったのでしょうか。それとも、サポート体制はあっても、認知できなかった理由があるのでしょうか。

二度とこんな悲劇が繰り返されないように、僕たち大人ができることは何か、もっと考えていきたいと思います。

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