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2013年9月18日 (水)

自由研究発表Ⅲ~「不登校」問題における家族の役割とその限界

9月8日午前中は、「不登校」児を持つ親の考えがどう変化していくのか、追跡研究の発表でした。
最初は、我が子の不登校を受け入れられなかった親が、その子を受け入れていく過程は、ジェンダーとしての女性・男性を放棄する過程と重なるというのです。つまり、世の中で広く言われている子どものありかた・親のありかたからの脱却は、女性らしさ男性らしさからの脱却であるとします。
広く世間で言われているお父さん像は、家族のためにしっかり働いてお金を稼ぎ、一家の大黒柱として家庭を支える。一方お母さんは、子どもの世話を献身的に行い、暖かな家庭を作る。こんなところでしょうか。ですから、不登校の子どもが出現したら、その子のケアはお母さんが第一にすることになります。そこに入ってくるのが、「母性」です。お母さんの献身的な子育ては、「母性」と言われる、子供を包み込む温かいケアです。ところが、不登校の対処に追い詰められたら、お母さんは温かく包み込むことができません。お父さんは、子育てに参加する必要は感じながら、一方で仕事人としての自分がお父さんとしての基礎であるため、どこかで仕事と家庭の折り合いをつけなければなりません。
こうした、お母さん・お父さんとしての生き方に亀裂が入って、そこから新しい生き方を模索することになります。これが、ジェンダーとしての女性男性からの解放につながります。お母さんは、今まで家に閉じこもっていたのが、社会に出るようになり、お父さんは、仕事をセーブしたりやめたりして、子どもと向き合います。しかし、お母さんは、やはり子どもと共に歩んでいくとこころに誓い、お父さんは離婚や家庭内離婚・別居などで子どもと離れるひともいるとのことです。
たしかに、何もなければ、僕たちは社会の期待する人間として生きていくでしょう。男の人は仕事してお金稼いで、女の人は、最近は働く女性が増えてはいますが、いつかは家庭に入って。そういった、社会で決められた男女の役割を、ジェンダーといいます。生物学的な性ではなく、社会に要請された性別です。社会に要請された性別は、その人が生まれながらに持っている特徴と矛盾することがあります。仕事ができる女性は、ジェンダーとして女性を要求され、仕事を諦めて家庭に入ります。家事が得意な男性も、ジェンダーとしての男性を要求され、外で仕事をします。これでは、個々の人が本当に輝くことができないのではないか。そこで、社会的な性別を決めずに、どちらもいろんな生き方ができるようにしようとするのが、ジェンダーからの解放です。
ならば、「ジェンダーとしての母親・父親」もあるのではないでしょうか。「母性」なんて言葉は、母親に期待するニュアンスを含んでいますね。これが、世の親御さんを苦しめる大きな原因になっていると思います。社会が求めるいい母親・いい父親から脱却して、自分たち親子としてベストな母親父親になる。この選択が、子育てしにくい今の社会に風穴を開けるのではないかと思います。
今の親御さんが抱えているものは、重すぎます。背負うものをもっと軽くして、自分たちが自分たちのあり方を決めることができる。そんな社会が、子育てに優しい社会ではないでしょうか。

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