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2014年4月16日 (水)

「定型」発達ってなに?

発達障害関係の話で「定型」発達という言葉がよく出てきます。まあ、障害がない普通の発達というぐらいの意味なんですが、僕はこの言葉が好きではありません。

この言葉には、2つの意味が含まれているように思うんです。1つは「発達には定まったかたちがある」という考えです。そもそも子どもの発達は、子どもによって違いますね。いわゆる「定型」発達の子どもでも、発達のかたちは人それぞれです。これは子どもを見れば一目瞭然です。

では、にもかかわらずなぜ「定型」発達という考えができたのでしょうか。実は、子どもの発達をたくさん見ると、どうやら同じような発達の仕方をしているように見えるんです。で、調べてみると、ある傾向があることがわかります。それで、発達には定まったかたちがあるのではないかと思われるんですね。

その考えは正当だと思うんですが、ここで注意すべきは、「多くの子ども」に共通の「傾向」がある「ように見える」ということです。つまり、あくまでもざっくりとした共通の発達であるにすぎないのです。ですから、その傾向にない発達をすることもじゅうぶんに考えられるので、別に定まった発達の仕方が「ある」わけではないのです。定まったかたちではないものを定まっているように言っているのに抵抗があるのです。

もう1つは、「定まったかたち」といった言葉には、定まっていないものに対するネガティブな印象を持たせるニュアンスがあるということです。決められたかたち以外はいわば不良品のように思われる市場主義の世の中で、定まったかたちをむりやり決めて、そのかたち以外を、いわば異形のように評価する。差別の構造が見えるのです。

もちろん、心理学などの学問上、「定型」発達を想定するのは、問題ありません。そこにはなんの価値判断はないのですから。ただ、ある傾向がある、それだけです。しかし、世の中はそんな価値判断をしないで済むわけではありません。やはり、価値づけして選別する仕組みがあるわけです。その仕組みに、発達心理学の理屈が使われている。とても危険なことだと思わざるを得ません。

「定型」発達という言葉に接すると、子どもはみんな違うんですよ、一人ひとりを尊重しなければなりませんよと言いながら、実は子どもを選別し差別しているように思ってしまうんです。子どもは、発達のかたちがどうであれ尊重されるべきです。言葉は気をつけて使わなければ、意図せずして新しい差別を生むことになりかねません。

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コメント

 興味深く読みました。おっしゃることの意味はよくわかります。
 でも、「定型発達」という言葉があると、発達障害という言葉を「非定型発達」と言い換えることができるので、私は、それほど悪い言葉だとは思いません。
 発達障害当事者たちは、世の中の人から、「人の気持ちがわからない人」「予定変更に対応できない人」「冗談や比喩的表現がわからない人」など、欠陥人間として理解されがちです。こういう決め付けに対抗するために「非定型発達」という言葉を使う当事者もいるのではないでしょうか。「~ができない人」という理解よりも「発達に凸凹がある人」というニュアンスになるので、自尊心を保てるように思います。

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