« 体罰の定義 | トップページ | 自分の思いでものを見ないこと~子どもを「こうあってほしい」で見ないでほしい »

2015年4月 7日 (火)

少年院基礎知識~号令と行進

少年院や刑務所なんかを紹介するときによく映るのが、「やすめ・きをつけ」などの号令や「いちに・いちに」の行進です。あれで少年院や刑務所の、硬いイメージを持つ人も多いんじゃないでしょうか。

たしかに、号令で人を動かし行進で進みます。でも、じゃあなんであれをやるのか、わかりますか?
まず号令です。普通少年院で使う号令は「やすめ」「きをつけ」「まわれみぎ」「まえにならえ・なおれ」「まえにすすめ」「ぜんたいとまれ」ぐらいですか。訓練では「みぎむきまえへすすめ」や「まわれみぎまえへすすめ」など少し高度なこともしますが、普段は使いません。
これ、普通に学校でもしていませんか?朝礼なんかで並んだときに、前で先生がかける号令、こんな感じだと思いますよ。ですので、そんなに特別なことしていません。ただ、学校では号令に対してだらだらしててもあまり怒られませんが、少年院ではそこはきちっとさせます。号令で硬いイメージをもたれるのは、だからでしょうね。まあ、きちんとさせることは、そんなに悪いことではないと思います。
号令をかけることについては賛否両論があると思います。みんな同じ動きをさせることについて、よくないと考えている人もいるでしょう。たしかにそういう面もあるかと思います。学校の朝礼なんかでみんながそろってきちんとした動きをする必要があるのかって言われたら、たしかに疑問ですよね。これが、少年院では必要なんです。これは、行進のことの後に説明します。
次に行進です。たとえば20人の少年を運動場から実習場へ動かすとします。そのときに、みんなてんでばらばらに歩いたらどうなるでしょうか。まず心配なのは、誰かがいなくなることです。人の塊からひょいと抜け出して逃げてしまうかもしれません。どこかの物陰に隠れてしまうかもしれません。そうなったら大事件です。少年と一緒に歩いている先生たちは、ただ単に一緒に歩いてるんじゃないんです。いつも少年の人数を数えて、抜けてる子がいないか確認しているんですね。ですので、きちんと整列させて歩かせるのは、大きな事件にならないためにやってるんです。
そして、みんなの足並みがそろわなければ、整列したまま集団が動くことはありません。やってみたらわかります。すぐにばらばらになってしまいますよ。ばらばらになったらいけないので、足並みをそろえるために、「いちに・いちに」があるんです。
ちなみに、運動場なんかで集まっているときに、整列して番号をかけます。「1・2・3・4・・・」ってやつですね。あれも、人数をすぐに数えるのに便利なんです。詳しい話は抜きますが、二列で並んでいて番号かけて5で終わったら10人いるんだなってわかります。番号はそのためにうつんです。
つまり、号令も行進も、これは少年院側が少年を「把握」するためにやっていることなんですね。ですので、これは少年院の教育活動ではありません。どちらかといえば保安のためにやっていることです。少年院は、教育施設であると同時に保安施設でもありますので、保安のためにやることもあるんです。少年院の先生は、号令や行進が教育活動であるなんて、誰も思っていません。
ですので、もちろん1人のときとか、2~3人とか少人数のときは、行進もしませんし号令もありません。やってるところもあるみたいですが、僕の勤務した少年院では、特に何人以上とかはないのですが、2~3人程度でしたら普通に歩いていましたよ。おしゃべりとかしながら。短距離ならもう少し多くてもしなかったかな。必要ないですからね。
そんなもんです。ですので、号令や行進が少年院の処遇の中心ではありません。あくまでも周辺のことです。あれで少年院のイメージをもたれるのはしかたないところもありますが、ああでないところ、も一緒に紹介してほしいものです。

« 体罰の定義 | トップページ | 自分の思いでものを見ないこと~子どもを「こうあってほしい」で見ないでほしい »

非行問題」カテゴリの記事