書評

2014年10月 8日 (水)

小﨑恭弘著『男の子の本当に響く叱り方ほめ方』

ファザーリング・ジャパン関西の「お師匠さん」小﨑さんのご著書です。ご自身も3人の男の子の父親で、しかもご自身も3人兄弟全員男という、まさに男社会で生きて生きた彼の男の子の育て方です。これはもう。彼しか書けない本ですね。「男子のプロ」って、一瞬笑ってしまいましが、言いえて妙だなあ。あ。僕は彼を個人的に知っていますが、たしかに男臭い感じはしますが、そんなにおとこおとこしてない印象です。おっさんくさい汗くさいマッチョなことは書いてありませんでしたので安心してください。
さて。お母さんにとって男の子って宇宙人みたいに見えるんですね。彼が言うように、異性で子どもという、二重に違う人間ですからね。そりゃ宇宙人に見えてもおかしくないですね。プラスして、親子だからわかりあえるはずだという前提が、かえって小さな「わからない」を大きく考えてしまうのではないかなと思います。だから、彼の「男の子はわからないものだ」という前提は、本当に正当だなあと思います。
わからないんだから、わかるためには「よく見る」ことが必要なんですね。わかるって、「自分もそういうところあるわ」とか「自分も同じ気持ちだわ」とか、「自分もそうである」ところでわかろうとしてしまうんですね。そうではなくて「ここは違う」を知ることでわかることもあるんです。必ずしも自分と同じところを見つけなければわからないものではないんですね。この視点、とても大事なんです。
「わからないもの」として見ることで、叱り方やほめ方も違ってきます。叱るもほめるも、子どもを変える作業である以上は、その子どもがどんな子なのかを知ることが大事ですね。自分が知っている粘土であればすぐに簡単に作業ができますが、知らない粘土だったら、まずはその粘土を知らなければなりません。その粘土が、柔らかいのか固いのか、油粘土か紙粘土かといったことですね。男の子は「わからないもの」ですので、まずは男の子を知ろうというわけです。
たとえば男の子は「行動に全く深い意味はない」とあります。そうなんです。ほんとうに何にも考えていないんですよね。もちろん、聞けばいっぱしのことが返ってくるときもありますが、でも、そんなのその場限りです。しっかり考えてのことではないですね。そんな子に、「この行動の意味はどうで、それをしたらこうなって」なんて言ってもわかってもらえません。端的に「これはしてはいけません」と言い続けるしかないんです。
また、ほめる時も「今ここでほめる」「シンプルにほめる」「プロセスをほめる」の3点を指摘されています。行動に意味はなく今ここを生きている男の子には、この3点ですね。これらを抑えたほめ方をするのが一番子どもに届くんです。
この、自分とは違う人を相手にしていると前提すると、その子どもがどんなことなら理解できるかといったことも知る必要があります。自分だったらこう言われたらうれしい悲しいとか、何歳だったらこれはわかるだろうといった前提で叱ったりほめたりするのではなく、この子は何がうれしいのか悲しいのかわかるのかで叱ったりほめたりする。その子のあわせたオーダーメイドの子育てができる。親御さんならではの子育てですね。それが大事なんです。
小﨑さんにとっては、どの子もスペシャルなんでしょうね。ひとからげに考えるんじゃなくて、その子その子が全部違う。そんな彼に習った子どもは幸せですね。教育者としての基本姿勢をあらためて学ばせていただきました。
あちこちに関西弁が混じる、ハートウォーミングな本です。しかし、ここに通じる考えは、ポジティブ・ディシプリンやコモンセンス・ペアレンティングといった最新の子育て思想を、よくもここまで簡単にしかも正確に表現できるなと思わせる、通好みの本にも仕上がっています。親御さんだけでなく教育や子育て研究をしている人たちにもおすすめです。ぜひぜひ!!
http://www.amazon.co.jp/%E7%94%B7%E3%81%AE%E5%AD%90%E3%81%AE-%E6%9C%AC%E5%BD%93%E3%81%AB%E9%9F%BF%E3%81%8F-%E5%8F%B1%E3%82%8A%E6%96%B9%E3%81%BB%E3%82%81%E6%96%B9-%E5%B0%8F%EF%A8%91-%E6%81%AD%E5%BC%98/dp/4799103784

2013年7月18日 (木)

教室内カースト~鈴木翔

最近ドラマにもなった(そうですね。僕は観ていません)スクールカーストです。「教室内」と書かれていますが、「スクール」と読ませるようです。

教室内で、カースト制度のようなものがあるとの指摘は、以前からありました。生徒の間で階層があり、それらの階層で役割や立ち振舞が決まっており、階層間の移動は特に下から上は極めて難しい。この階層。生徒のグループは昔からあったし、上下の区別もあったのでしょうけど、最近は特に階層化していったということです。階層化。つまり生徒個人の役割や行動を固定する圧力、になった。
空気を読むことへのプレッシャーがきつくなったらこうなるんだ、とも言えるでしょう。自分の行動が周りに迷惑をかけてはいけない、嫌な気持ちにさせてはいけない。波風立てないのが一番唯一求められている。そうするためには、自分のキャラを固定しそれを演じるのが最も近道です。そのキャラも、自分が作るのではなく、まわりがこのキャラでいけと言って、それを受け入れる。押し付けられたと思わないんですね。これでまわりと仲良くできる。パスポートのようなものでしょう。
カーストの上位は、いわゆる勝ち組と考えられているようです。カーストの上位が教室の空気を決めて、自分たちが楽しく過ごせるようにする。しかし、実際に活動するのは、下位の階層です。係活動など面倒なことは、下位にさせる。ここで、下位は喜んで役割を引き受ける、というのです。自分たちの存在意義を、面倒なことをすることに求めているのでしょうか。
僕は、これほどわかりやすく大人の世界をシミュレートしたものはないな、と思いました。一部の勝ち組が社会を動かし、負け組が実働部隊。そして、負け組から勝ち組に移動することは極めて困難。このカースト制度を批判する大人は、返す刀で自分が斬られることになるでしょう。

2013年4月25日 (木)

おすすめの絵本~「大阪うまいもんのうた」

「大阪うまいもんのうた」という手遊び歌をごぞんじですか?「おおさかには、うまいもんが、いっぱいあるんやで~」というやつです。これは、この歌を絵本にしたものです。

これを読んで。あれ。子どもたちが歌ってるのと違うぞ。そこで、調べてみたところ、微妙に違うバージョンがたくさんあることがわかりました。たとえば、「づぼらや」が「くいだおれ」になってたり、「もんじゃやき」が「吉本新喜劇」になってたり。どうも三番がいろいろ違うようです。一番は違うバージョンが見つかりませんでした。二番は「ばってら」が「おしずし」のバージョンがありました。フシも少し違うバージョンがあり、奥深さを感じました。
まあ、あまり深入りすることなく、歌いながら楽しく読める絵本です。長谷川義史さんの絵本らしく、おとなも楽しめる小細工が満載です。親子で違う楽しみ方をしながら、同じ絵本を読む。なかなか楽しいですね。おすすめです。

2013年4月17日 (水)

書評 子育て主夫青春物語 堀込泰三

家族がそろって暮らすことに、これほど情熱を傾けた人はいないでしょう。東大の大学院出て、大手メーカーに勤めて。そりゃ誰でもうらやむ人生のはずが。
実は、後半の大学生から就職までの旅行やワーキングホリデーのことは、退屈でした。僕のように三流駅弁大学卒にとって、東大生の優越感、上から目線を感じたのです。なんでこんなこと書くのかな。キャッチが「東大卒より家族が大事」だから、どっぷり東大生の足を洗ったことを言いたかったのだろうかと。しかし、自分の東大ブランドには反発を持った学生時代とあるし。何のためにこんなことを書くのだろう。意図が分かりませんでした。しかし。
世間一般では、東大生って宇宙人みたいに考えてるかもしれません。なにやらわからないが、すごいことだけはわかると。そして、東大生というはっきりしないイメージで自分を語られることに対する抵抗感。自分はそんなんじゃない、自分を自分として見られたかったのでしょう。だから、いったん東大ブランドから離れることによって、東大生だった自分を、自分で認めることができるようになったのでしょう。自分の一部を認めることができるようになった過程が、ワーキングホリディだったのかな。自分という人間を肯定できるようになった、だからそこにいくまでのもがきが「青春物語」なんですね。
だから、子どもにもまっすぐ接することができるのでしょう。子どもにとって、その人がどこの大学出ていようが、ミルクくれておしめ替えてくれる人を認めるのですから。自分がまっすぐに試される、親という立場。「東大卒より家庭が大事」の意味はそこにあると思います。
ただ、彼の文章に「であるはずだ」とか「じゃないですか」、「ですよね」がとても多いなと思いました。これらの言葉は、いわば断定です。こんな言い切りの言葉を多用できるのは、嫌みではなく、頭がいいんだろうなと思います。で、言ってることは世間一般で言われていること。生活のリズムとか。これは、どうなのかな。なんでも反対しろとは言いませんが、理屈で考えておかしなこともあるかろうと思うんです。そういう、理にかなってない常識を疑うようなところをもっと出してくれたらうれしかったです。その辺を含めてぜひぜひ次回作を。期待しています

2013年4月12日 (金)

おすすめの絵本~「ゴリラのパンやさん」

これは、僕にとって思い入れがある絵本です。昔特別支援学校に勤めていたとき、見た目がいかつい僕は、散々な言われようでした。「こわい」「威圧感がある」なんでそんなに大きいの?なんて言われたこともあります。子ども相手は向かないと。
コンプレックスの塊だった僕は、どうすればいいのか見当もつきませんでした。そんな時に、たまたま教室にあったこの絵本に出会いました。
こみ上げてくるものがありました。救われたと思いました。見た目じゃない。こころは子どもたちに伝わっているのだと思えました。コンプレックスが消えました。
初めての絵本ライブは、岩手の絵本キャラバンでした。初めての出番で選んだのは、もちろんこの絵本。無我夢中でした。子どもたちの反応がびんびん伝わって、すごい、これがライブなんだと思いました。
今では、僕の持ちネタ第1番です。先日再訪した保育園で僕の顔を見た子どもたちが、「ゴリラのパン屋さんだ!」と言ってくれました。これからもずっとつきあっていきたい絵本です。

2013年4月11日 (木)

おすすめの絵本~「うんちっち」

もう。タイトルからして、その方面の話かなと思うでしょう。でも、そっちではないんですよね。
「うんちっち」としか言えないうさぎのこが(ここですでにナンセンスですが)、ある出来事に巻き込まれます。さて。どうなるのでしょうか。オチがまた。ナンセンスの極みというか、意味のないというか。
5歳娘がハマりまして。1日に何回も読んでくれと。5回読んだことがあります。さすがに5回はきついです。中1の息子も爆笑でした。中学に読み聞かせに行っている人も、これはウケるとおっしゃってました。さらに、うちの嫁さんも大好きです。
何がそんなにおもしろいのか。言葉にできないのがまた、もどかしくて楽しい。そんな絵本です。

2013年4月 9日 (火)

おすすめの絵本~「キャベツがたべたいのです」

ちょうちょたちが、あおむし時代に食べたキャベツの味が忘れられなくて、なんとかしてキャベツを食べようとがんばります。でも、ちょうちょの口はストローになっていて、花の蜜を吸うにはばっちりなんですが、キャベツは食べられません。「キャベツがたべたいのです」ちょうちょの切実な願いは、やおやのおじさんのこころを動かします。さて。ちょうちょたちはキャベツが食べられたのでしょうか?
この絵本見て、高1の娘が一言。「ちょうちょがかわいくない!!」たしかに。なんともかわいくないちょうちょが出てきます。まあ、花の蜜よりキャベツがいいなんてちょうちょですから。かわいくないですよね。でも、このかわいくなさが、いい感じなんです。
この絵本は、実にナンセンスです。なんでそうなるの?って展開です。それがまた。子どもにはウケるんでしょうね。5歳娘のお気に入りです。いつもある場面で爆笑です。どこかって?それはご自分でお確かめください。たぶん、お子さんも同じ所に反応するでしょう!!指人形付きです。あなたも、このかわいくないちょうちょの世界へぜひ!!
ご購入はこちら